プレイヤー・ピアノ

カート・ヴォネガット Jr の「プレイヤー・ピアノ」(浅倉久志訳,早川書房)を読みました。
1952年に書かれたSFです。

機械がどんどん利口で便利になった社会での話。
管理職と特別優秀な技術者からなるエリート層と,機械によって仕事を奪われた多くの市民との間に埋められない格差が生じています。
機械による生産の効率化によって,一般市民は安価に家財を購入できるようになり,社会保障も充実していますが,心の充足感がありません。

主人公の言葉:
「 われわれは,事実上,この人たちからこの世で彼らにとって一番大切なものを取り上げたんだ-自分が必要とされている,役に立っているという気持ち,自尊心の土台になるものをね」

半世紀以上も前に書かれた小説ですが,これから先の未来を予測しているようで,いろいろと考えさせられる本でした。

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